2023-10-25# 物件(仙台圏)
仙台市/高畑定義線の改良事業/高畑工区は構造物工事が本格化/近く桟道橋とPC上部工を発注へ
仙台市は、観光地である定義地区へのアクセス道路となる高畑定義線の改良事業に取り組んでいる。2023年度に高畑工区では引き続き桟道橋など構造物の工事を推進するほか、定義工区は大倉川を跨ぐ橋梁の設計を固めて早期着工を図る。
年間100万人ほどが訪れる定義地区へのアクセスは、市中心部から向かう場合、大倉ダムの堤頂部を経由してダム左岸を通るルート(県道定義仙台線)が一般的。しかし幅員が狭い上、大型バスも通るため交互に通行する必要があり行楽シーズンは混雑が生じている。また、周辺住民の生活道路となっている右岸側の道路も幅員が狭く、東日本大震災では法面が被災したこともあって対策が求められている。
このため右岸側の道路を拡幅する改良事業を立案。南側の高畑工区は県道定義仙台線との交点に近い大倉ダム堤体付近から上流側へ、ダム湖を上流で跨ぐ橋梁(大倉大橋)となっている市道大倉中線との交点付近までの延長1・97㌔㍍。幅員は7・5㍍。
ダム湖側に張り出すように道路を付加するため桟道橋を採用するとともに、下部工を構築できる地点は橋梁を架設し、桟道橋と橋梁が連続する工区となる。桟道橋の現道部分は既存ブロックの強度確認が難しいことから軽量盛土を採用する。また区間内の4カ所に、事業期間を通じて使用する仮橋を設置している。
起点側から構造物と整備状況を見ると、延長33㍍の1号桟道橋は近く工事を公告する。「桟道橋設置工事その9」で床版工と軽量盛土工を工期16カ月で予定している。続く1号橋はPC3径間連結ポステンバルブT桁の橋長73㍍でP4が完成済み。P1~P3は橋本店が施工中。2号桟道橋は延長160㍍で上流側半分が完了。2号橋はPC単純ポステンバルブT桁の橋長32㍍で完成済み。3号桟道橋は延長23㍍で完成済み。
3号桟道橋に続いて土工区間を挟み、4号桟道橋は延長302㍍で3分の1程度を構築済み。現在は奥田建設と広瀬組が施工している。3号橋はPC2径間連結ポステンバルブT桁の橋長58㍍で、上部工を東日本コンクリートが施工中。5号桟道橋は延長184㍍で1ブロック(約40㍍)のみ完了した。
5号桟道橋の後、土工区間を経て、6号桟道橋は延長116㍍。延長の約3分の1が完成し、残る3分の2ほどの床版工が残る。4号橋はPC3径間連結ポステンバルブT桁の橋長70㍍で、下部工は完了し、上部工の一部を近く公告予定。「橋梁上部工工事その3」で延長24㍍分の製作・架設を工期約8カ月で予定する。残る上部工は来年度以降に発注を見込む。7号桟道橋は延長47㍍で完成済み。土工区間を挟んで8号桟道橋125㍍は未着手。
さらに上流側は土工で拡幅する区間が続くが、プレキャスト擁壁を5カ所に設ける。7号桟道橋と8号桟道橋の間に1号擁壁(延長42㍍)、8号橋の上流側に2~5号擁壁(延長20㍍、128㍍、45㍍、62㍍)を構築する。5号擁壁は完成している。
上流側に続く定義工区は、大倉川右岸の現道を拡幅改良するほか、工区終点側の大倉赤岩地内(右岸側)~大葉羅地内(左岸側)で大倉川を跨ぎ、対岸の県道に接続する橋梁を架設する。工区延長は1・87㌔㍍で、幅員は7・5㍍。
橋梁は橋長218㍍、幅員7・5㍍のPC3径間連続箱桁で計画。下部工は逆T式橋台2基(右岸側がA1)と壁式橋脚1基、柱式橋脚1基。深礎杭基礎を含む。躯体高は15㍍程度。上部工の架設工法は張出架設を想定している。詳細設計は22年度に大日本コンサルタント(現・大日本ダイヤコンサルタント)が担当した。
本年度は用地取得に取り組んでいるほか、発注見通しによると橋脚構築地点までの仮設盛土を工区初弾工として11月ごろに公告する。工事名は「工事用道路築造工事」。概算数量は約1万5000立方㍍で、工期は約5カ月に設定している。予算確保などを含め事業が順調に進めば来年度にも橋脚工発注を見込む。
なお、この事業には年間10億円規模の事業費を付けており、今後も引き続き同程度の予算を確保しつつ進捗を図る。利便性を考慮し、高畑工区の完了と、定義工区のうち橋梁部分の完成がおおむね同じ時期になることを目指して事業に取り組む方針。定義工区の現道拡幅区間については、橋梁の完成後に着工する見込み。