2025-02-20# 物件(仙台圏)
岩沼市/新たな区画整理や開発用地の動向/新年度に宅地開発関連予算を計上/市の東西に計約60haの区画整理用地
岩沼市は本年度から始まった新たな総合計画に示す人口目標4万5000人(2033年度時点)の達成に向けて、新たに土地区画整理事業や宅地開発に取り組んでいく。これまでに区画整理事業用地を2カ所選定したほか、仙台東部道路・岩沼IC周辺で市街化編入の手続きを進めている。民間主導の宅地開発や、産業用地への企業誘致も推進する。
市は2024年度に実施した「土地区画整理事業等可能性調査」(担当=オオバ)で抽出された5つのエリアから、市域の東西に位置する計約60㌶の2区域を、住宅系あるいは産業系の区画整理事業に取り組むエリアとして選定した。2区域は交通利便性や小学校からの距離などが評価された。来年度には地権者説明会などを行い、民間主導の事業化を目指す。25年度当初予算案では地権者説明会などの準備に充てる区画整理事業説明会開催支援委託業務に400万円を付けた。
抽出された5つのエリアは▽押分5・4㌶▽押分(岩沼IC西側隣接)30・9㌶▽早股(岩沼IC東側隣接)15㌶▽早股10・8㌶▽武隈(県立支援学校岩沼学園東側)26・1㌶―。幹線道路を中心としており、いずれも農地となっている。
スケジュールについては、県の仙塩広域都市計画区域の見直し(第9回)が29年度に告示された場合、そのタイミングでの市街化区域編入、土地区画整理組合の設立、事業認可を経て造成を実施し、33年度ごろに分譲開始を想定している。
なお来年度当初予算案には、24年度に抽出した5つのエリアのほかにも、新たな宅地開発を念頭に置いた開発適地調査資料作成委託業務料として700万円の確保も目指す。
また2月定例議会の一般質問で、佐藤剛太議員による「開発用地拡大の可能性について」と題した質問に対し、一部の地権者から開発意向が示されているJR岩沼駅周辺について、市は「地権者の理解や開発意欲がある企業とマッチングできれば開発の可能性がある」と答弁した。駅周辺の開発を巡っては、NPO法人・TOMネット(東京都港区 柳井雅也代表理事)による地域再生フォーラムが開催されるなど、開発の機運が高まっている。
都市計画マスタープランで「新産業エリア」に位置付けられている岩沼IC周辺の開発は、県道岩沼海浜緑地線の南北に隣接する全4エリア(約22㌶)のうち、一部で今年5月の市街化編入に向けて手続き中。対象は一般保留地区に当たる押分与奈地内(2・2㌶)で、開発行為または業務代行方式で開発し、商業施設の立地が見込まれている。残る3エリアも協議を進めており、5月までの編入を目指す。3エリアのうち、県道の北側で約14㌶の2エリアには物流系を誘致したい考え。県道を挟み南側の約5㌶は商業系で調整している。
このほか市内の宅地開発の動向を見ると、玉浦小学校の周辺に位置する三軒茶屋東地区では民間主導の動きがある。農地約2600平方㍍と約6600平方㍍の2地区で住宅専用地として開発中。併せて三軒茶屋中央地区で道路の新設を計画し、本年度に測量設計に着手(担当=秋元技術コンサルタンツ)した。来年度当初予算案には関連費9869万円を計上している。
市主体の「矢野目西土地区画整理事業」では、6街区(約0・4㌶)の立地事業者を随時募集している。卸売業や生活関連サービス業などの業種を対象に募集中。その北東側にある4街区は、建築資材や鋼材などの運搬を中心とした輸送サービス業を営むオックスライン(登米市米山町中津山鍛冶屋敷15の3 大槻洋介代表取締役)が進出を決め、約0・5㌶に仙台支社の機能移転先として事務所兼倉庫を建設する。