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2025-02-17# 物件(大崎・栗原)

宮城県/栗原地区の農業農村整備事業/366haの津久毛地区は進捗36%に/上畑岡地区は推進工法でサイホン改築

栗原市内で計画されている県営の農業農村整備事業を見ると、受益面積366㌶の津久毛地区では今後、上流の西側や南側で区画整理工事を展開する。上畑岡地区ではサイホンと橋梁の改築が控える。藤沢地区は2026年度ごろの着工へ、有壁地区は25年度の事業化へ、それぞれ準備が進む。

旧金成町の国道4号西側に広がる津久毛地区は21年より下流側(地区内の東側)から工事に着手し、24年度末時点で面積ベースの進捗率は36㌫程度を見込む。25年度以降は地区内の西側と南東側の一部で工事を展開していく。総事業費は81億円余り。

この地区は旧くりはら田園鉄道の線路が地区内を貫通していたエリアで、線路と並行するように杉橋用水路が整備されている。地区北側は県道油島栗駒線、南側は三迫川の左岸となり、迫川上流土地改良区が水利施設を所管している。もともと1区画当たり10~30㌃だった農地を約1㌶に大区画化する。

大区画化に伴って、支線用水路はパイプライン化するとともに、幹線排水路は線形と断面を見直してコンクリート3面張りに再整備する。これらの水路工事はほ場の区画整理工事に含めて発注することを基本としている。

実施設計は、地区北東部を大江設計、地区西部と第1揚水機場をサトー技建、地区南東部と第2揚水機場を古川測量設計事務所がそれぞれまとめている。

工事は、初弾で21年度の1―1工区は大林土建が担当したほか、22年度以降は小野田建設が6件を施工し、本年度も2件を担当。23年度に一部暗渠排水を白鳥興業が施工した。

伊豆沼の北側に位置する旧若柳町の上畑岡地区は受益面積170㌶。迫川上流土地改良区が水利施設の管理を担当している。事業期間は28年まで。約51億円の事業費を見込む。

もともと1区画当たり10~20㌃の農地を約1㌶(標準区画148㍍×75㍍)に拡大する。川沿いは砂混じりであるなど土質が安定しないため、表土扱いを採用。用排水兼用の土水路は兼用を廃止。用水はパイプライン化し、排水はコンクリート水路とする。

地区内は東部のかけ下工区、中央北側の大立前地区、中央南側の田袋工区、西部の大森前工区に分かれる。東部と中央エリアの境界を南北に流れる水路には、中間部付近の第1揚水機場の南側で、杭ヶ浦導水路を跨ぐ橋梁と、同様に水路と交差するサイホンがある。橋梁とサイホンは老朽化しているため近接して造り替える。実施設計は全工区の区画整理と橋梁、サイホンのいずれも仙台土木設計がまとめた。

橋梁はプレテンPC単純床版の延長17㍍、全幅6㍍、橋台は杭基礎で逆T式を想定。サイホンは延長41㍍、口径1350㍉㍍の泥濃式推進工法で建設する計画。

初弾工事として23年度に東部・かけ下地区のうち西側(水路沿い)約9㌶が対象の区画整理工事を上田建設が担当。24年度は23年度施工エリアの均平工と南東側に続く区画を宮城建設が施工している。今月10日付では、かけ下3工区として約15㌶の工事を公告した。

旧瀬峰町北部の藤沢地区は、蕪栗沼に注ぐ瀬峰川沿いに広がる受益面積93㌶。小山田川沿岸土地改良区が所管するエリア。事業期間は本年度から33年度までを想定。総事業費は35億円弱。26年度には工事に着手したい考え。基本計画(基本設計)は仙台土木設計がまとめている。

現状は農地1区画当たり20㌃程度だが、沢地形で営農効率向上の観点からも大区画化を図る。全体の37㌫を1区画当たり1㌶(標準区画150㍍×68㍍)に拡大し、さらに全体の8割強は50㌃以上とする計画。表土扱いを採用する。用水はパイプライン化。機場は6カ所整備し、高低差を考慮して一定の揚程を確保する。

今月10日付では、瀬峰新下田地内19㌶と瀬峰八幡地内7㌶の実施設計などを公告した。

旧瀬峰町では、南東部の瀬峰地区でも区画整理を実施中。蕪栗沼の西側に位置する受益面積53㌶で、全体の約65㌫は1㌶に拡張する。おおむね区画整理を実施済みで、来年度は付帯工事を予定する。

計画段階の地区は、県北部地方振興事務所が主体で検討をまとめている。

旧金成町北部の有壁地区では農地整備事業調査を行っており、25年度採択を目指す。JR東北本線沿いで有壁駅の東側に広がり、受益面積は74㌶。水利施設は迫川上流土地改良区が所管している。

もともと複数のため池と有馬川から用水を取水しているが、川を利用しているエリアに用水ポンプ場の新設を計画。農地の現状は1区画当たり10㌃程度で不整形のため、1区画当たり30~50㌃ほどに拡張する。高低差のある地形となっている。21年度から委託している基本計画(基本設計)は岩倉測量設計がまとめている。

横須賀地区と有賀地区では、ストックマネジメントの考えに基づく機場の長寿命化に向けた水利施設整備事業調査を実施している。機能保全対策で補機類、電気設備の更新、エンジンのオーバーホールなどが想定される。

旧築館町で伊豆沼の直上流(西側)にある横須賀排水機場は、能力が毎秒2・56立方㍍で横軸斜流ポンプを2台備える。ともに横軸斜流ポンプで、1号機はφ1000㍉㍍、2号機はφ500㍉㍍。調査期間は本年度までの予定で、排水解析は仙台土木設計が担当している。

旧若柳町の有賀地区では、武鎗地内にある有賀(第1)排水機場と同第2排水機場を対象として検討に着手した。調査期間は本年度から26年度まで。能力は有賀排水機場が毎秒9・05立方㍍、隣接する有賀第2排水機場が毎秒9・99立方㍍。地区下流(東側)で北上川水系夏川に放流している。本年度の排水解析は仙台土木設計が担当。

 

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